JTBがチャネルマネージャーAPIを公開、宿泊予約の二重販売は減るのか

JTBがチャネルマネージャーAPIを公開、宿泊予約の二重販売は減るのか

ニュースの概要

JTBが自社の予約管理システムについて、チャネルマネージャー向けのAPIを提供し始めました。チャネルマネージャーとは、楽天トラベルや各種海外サイトなど複数の販売窓口の部屋数と料金を、一か所でまとめて更新する仕組みです。これまでJTB経由の予約は、施設側が管理画面に別途ログインして在庫を調整するか、個別に作り込んだ連携で対応するケースが目立ちました。今回のAPI公開で、すでに使っているチャネルマネージャーから在庫や料金、予約情報をやり取りしやすくなります。施設側にとっては、入力の手間が減り、窓口ごとの在庫のずれも抑えやすくなる動きです。

引用元: JTBの予約管理システムがチャネルマネージャーAPIを提供開始(Dellows News)

分析・見解

窓口が増えるほど、手作業の在庫更新が限界に近づく

宿泊施設の販売窓口は、この十数年で急に増えました。自社サイト、大手の予約サイト、海外サイト、旅行会社の団体向け窓口、さらに民泊系サイトなどです。窓口が5つあれば、1室売れるたびに4か所を更新する必要があります。

人の手でこれを続けると、更新漏れが必ず出ます。更新が数分遅れただけで、同じ部屋が二重に売れてしまいます。繁忙期の週末なら、数分の間に何件も予約が入ります。

APIでつなぐと何が変わるのか

API(=システム同士が決まった形式で情報を受け渡す窓口)が公開されると、チャネルマネージャーはJTBの画面を介さず、直接在庫を書き換えられます。人が画面を開く作業がなくなり、更新の遅れがほぼ消えます。

仕組みとして大切なのは、予約が入った瞬間に在庫が各窓口へ配られる点です。従来の定期同期は、5分から15分おきにまとめて更新するものが多く、その空白時間に二重予約が起きました。API連携が即時型であれば、この空白を縮められます。

ただし、速さは相手側の実装次第です。JTB側が即時で応答しても、チャネルマネージャー側が定期処理のままなら、効果は限定されます。

旅行会社の窓口がつながることの意味

海外の大手予約サイトはすでに連携が当たり前で、チャネルマネージャーも対応済みです。一方、国内の旅行会社系の窓口は、独自の画面や個別の取り決めが残っていました。ここがつながると、施設は国内外のほぼ全ての窓口を、一つの画面で動かせるようになります。

特に、修学旅行や団体、法人の出張手配は、JTBが強い分野です。個人客向けの窓口と同じ在庫で管理できれば、団体用に部屋を押さえすぎて、直前に空室が余る事態も減らせます。

見落とされやすい三つの落とし穴

一つ目は、料金の連携です。在庫だけでなく、プランや料金も流す設計だと、設定ミスが一度に全窓口へ広がります。誤った料金が一斉に公開される危険は、手作業の時代にはなかったものです。

二つ目は、キャンセルと変更の扱いです。予約の新規受付は連携できても、変更やキャンセルの反映に遅れが出る例があります。この反映が遅れると、空室のはずの部屋が売り止めのまま残り、売り逃しにつながります。

三つ目は、障害時の動きです。通信が途切れたとき、在庫をどちらの値で確定させるかを、事前に決めておく必要があります。

今後は、旅行会社系の窓口もAPIで連携する流れが一段と進むでしょう。連携しない窓口は、施設から敬遠されて露出が減る可能性があります。

ビジネスへの影響

まず自社のチャネルマネージャーが対応するかを確認する

施設の意思決定者が最初にやるべきことは、現在契約しているチャネルマネージャーの対応状況の確認です。対応済みなら、追加費用の有無と、設定にかかる日数を聞きます。未対応の場合は、いつ対応予定かを書面で確認してください。

費用の面では、連携ごとに月額が上乗せされるタイプと、定額のタイプがあります。窓口が増えるたびに費用が増える契約は、長期では割高になります。

導入は閑散期に、一窓口ずつ試す

連携の切り替えは、繁忙期の直前を避けてください。閑散期に、まず少数の部屋タイプだけで試し、在庫と料金が正しく届くかを数週間観察します。問題がなければ、対象を広げます。

試験中は、毎朝、各窓口の画面と社内の在庫表を見比べる習慣が有効です。ずれが出た日付と原因を記録しておけば、連携会社への問い合わせも具体的にできます。

在庫の持ち方と運用ルールを見直す好機にする

連携が整うと、窓口ごとに部屋数を割り振る古い運用をやめ、全窓口で共通の在庫を共有する形へ移せます。割り振りが不要になれば、売れ残りが減ります。

同時に、料金の変更権限を持つ人を絞り、変更前に別の人が確認する手順を作ってください。自動化で速くなる分、間違いも一瞬で広がるためです。

オーバーブッキングの原因分析や、システム障害時の対処は、当サイトの関連ページも参考になります。

関連記事

[PR] AI搭載ボイスレコーダー Plaud