元客室乗務員の解説が注目を集めている。飛行機のオーバーブッキングに遭遇した際、カウンターに人が殺到する理由は補償金やアップグレードを狙うためだという。実際にファーストクラスへの無償アップグレードを獲得した事例も報告されており、搭乗拒否という一見不利な状況が、知識ある乗客にとっては予想外の利益をもたらす可能性がある。
参考: 飛行機のオーバーブッキングはチャンス?元CAの解説に「カウンターに人が殺到」「ファーストになったことも」(LIMO)(Yahoo!ニュース)
分析・見解
航空業界のオーバーブッキングは収益最大化のための計算された戦略だ。統計的に一定割合の乗客がキャンセルや遅延で搭乗しないことを見越し、座席数より多くの予約を受け付ける。しかし予測が外れると搭乗拒否が発生し、航空会社は法的に補償義務を負う。
日本では国土交通省の告示により、国内線で搭乗拒否された場合の補償基準が定められている。さらに航空会社独自の上乗せ補償として、次便への振替に加え、数万円の補償金や上級クラスへのアップグレード、マイル付与などが提供されることも珍しくない。欧米ではEU261規則により最大600ユーロの補償が義務付けられており、ボランティアで降機する乗客には交渉次第でホテル宿泊券や食事券なども追加される。
元CAの証言にある「カウンターに人が殺到」という現象は、この補償制度を熟知した常連旅行者やビジネス客の行動だ。特に時間的余裕がある乗客にとって、次便への変更と引き換えに得られる補償は魅力的である。ファーストクラスへのアップグレードは通常数十万円相当の価値があり、これを無償で獲得できる機会は滅多にない。
航空会社側の視点では、オーバーブッキング補償コストは事前に織り込み済みだ。空席で飛ばすよりも、わずかな補償コストを払ってでも満席にする方が収益性は高い。また自発的に降機する乗客を募ることで、強制的な搭乗拒否によるブランド毀損を回避できる。
ビジネスへの影響
旅行業界の実務担当者は、オーバーブッキング補償制度を顧客への付加価値情報として提供すべきだ。特に法人顧客の出張手配では、時間的余裕がある復路便で補償を受けられる可能性を示唆することで、コスト削減提案につながる。
航空会社にとっては、補償内容の透明性を高めることが顧客満足度向上の鍵となる。アプリやウェブサイトで事前にボランティア募集を行い、希望者を登録しておく仕組みは、当日の混乱を減らし効率的な運用を可能にする。デルタ航空やユナイテッド航空では既にオークション形式で補償額を提示するシステムを導入しており、日本の航空会社も参考にできる。
個人旅行者にとっては、搭乗拒否時の権利と補償内容を事前に理解しておくことが重要だ。特に国際線では各国の法規制が異なるため、出発地の規則を確認しておくべきである。
